Cubase Pro 13 のエフェクト:9個のEQ

Cubase

Cubase Pro 13を購入して付属してくるエフェクターの中でイコライザー系は9個あります。これらすべての概要を整理してみます。

9個のイコライザーについて

Cubase Pro 13には多様な9つのイコライザーが用意されています。これによって、異なる音楽制作のニーズに柔軟に応えることができます。
そして、それぞれのイコライザーは、特定のサウンド特性や操作スタイルを持っています。
例えば、ビンテージチューブイコライザーは暖かみのあるサウンドを出したい時に、またパラメトリックイコライザーは、より詳細な周波数の調整を必要とする場合に役立ちます。
グラフィックイコライザーは、直感的で簡単に操作でき、ライブパフォーマンスなどで便利です。
このように、各イコライザーは独自の利点があり、異なる音楽制作シナリオや音響調整の要件に応じて使い分けることができます。

イコライザー種別ごとのメリットデメリットや用途

Type メリット デメリット 用途
パラメトリックEQ 精密な周波数調整が可能 初心者には複雑 スタジオレコーディング
グラフィックEQ 直感的操作、視覚的なフィードバック パラメトリックに比べ精度が低い ライブサウンド、クイック調整
ビンテージチューブEQ 暖かいサウンド、キャラクター モダンなサウンドには不向き レトロ・ビンテージサウンド
スプラインイコライザー 直感的なカーブ編集 クイック調整には複雑 創造的なサウンドデザイン
DJ-EQ シンプルな三バンド操作 詳細なサウンド調整には不向き DJミキシング、簡単な調整

1.Frequency EQ 2

Type:パラメトリックEQ

「Frequency EQ 2」はCubase Pro 13に付属するイコライザープラグインです。

8つの完全に調整可能なパラメトリックEQバンドを備えており、これらのバンドは多様なフィルタータイプとして機能します。例えば、シェルビングフィルター、ピークやノッチフィルター(特定の帯域を強調または除去するフィルター)、ローパスやハイパスのカットフィルターなどです。

各バンドごとに独立したサイドチェーンをもち、これによりユーザーはより柔軟な音響処理が可能になります。特に、ローシェルフ、ハイシェルフ、ピークフィルタータイプでは、ダイナミックフィルタリング機能を使用して、オーディオ素材のダイナミクスに基づいてイコライザーの適用を調整することができます。

  1. 8フルパラメトリックバンド:
    各バンドは、独立して調整可能で、シェルビング、ピーク、ノッチ、カットフィルターとして機能します。
  2. サイドチェーンサポート:
    各バンドは、内部または外部のサイドチェーン信号に基づいてフィルタリングを行うことができます。
  3. ダイナミックフィルタリング:
    ダイナミクスに基づいて、EQの適用が動的に変化します。これにより、オーディオ素材の特定の特性に応じて、より精密な調整が可能になります。
  4. リニアフェーズ処理:
    標準的な最小フェーズイコライジングで発生する可能性のある、周波数依存の位相シフトを避けます。
  5. 詳細なコントロール:
    高度なフィルタータイプ、周波数設定、Q値、ゲイン調整などが可能です。
  6. ステレオ、ミッド/サイド、左/右処理モード:
    ステレオソースで使用する際、各バンドはステレオ、ミッド/サイド、または左/右モードで使用でき、それぞれのチャンネルに異なるEQ設定を適用できます​​。

これらの機能により、Frequency EQ 2は、オーディオトラックの精密な調整、特定の問題周波数の特定と修正、ステレオイメージの操作、ミキシングやマスタリングの際の細かな調整に非常に有効に使用することができます。

2.DJ-EQ

Type:DJ-EQ

DJが使用するミキサーやコントローラーに組み込まれているイコライザーの機能を再現します。この機能は、曲のミキシング時に、低音(低域)、中音(中域)、高音(高域)の各周波数帯を個別に調整することができるため、曲間のスムーズな移行を作り出すことができるのです。

たとえば、2つの曲をミックスするとき、同時に再生されるベースラインがぶつかり合ってしまうと、音がごちゃごちゃして聞こえることがあります(これを「マディ」と言います)。DJ-EQを使用して低域を調整することで、このような問題を解消できます。また、ハイハットのリズムやボーカルが衝突している場合も、中域や高域の調整でクリアなミックスを実現できます。

DJ-EQの3つのテクニック

  1. ベース交換:
    ミックス中の2つの曲間で低音部分(ベース)を切り替える方法です。例えば、チャンネル1の曲が流れている時に、チャンネル2の曲のベースを上げて、チャンネル1のベースを下げます。これにより、新しい曲への移行をスムーズかつ効果的に行うことができます。重要なのは、曲の特定のフレーズやリズムの変わり目に合わせて、ベースラインを切り替えるタイミングを見極めることです。
  2. 中域のEQ調整:
    中域は、曲のメロディやボーカル、打楽器など多様な音域をカバーしています。ミックス時には、これら中域の音域を、ほぼフルレベルで保つことが多いです。ただし、メロディーやボーカルが衝突しないように注意する必要があります。特に、2つの曲を同時にプレイしている場合、中域のバランスをとることが重要です。
  3. 高域のEQ調整: 高域は、ハイハットやスネアなど、より高い周波数の音を含んでいます。私たちの耳は高周波数に敏感なため、高域を急に切ると、その変化が非常に目立ちます。そのため、高域は徐々にフェードアウトするか、新しいチャンネルの高周波数部分を導入する際に同期させて調整するのが効果的です。これにより、自然でスムーズな移行を実現できます。

3.Standard Channel EQ

Type:パラメトリックEQ

オーディオミキシングで使用される基本的なイコライザーの一種で、個々のトラックのサウンドを形作るために使われ、ミックス内でそれぞれの要素が適切にフィットするように調整します。

  1. 周波数調整:
    各楽器やボーカルに固有の周波数範囲があり、それらの範囲を調整してミックス内でのバランスを取ります。例えば、ベースギターとキックドラムがある場合、ベースギターの低域をカットしてキックドラムとの衝突を避けたり、ボーカルの高域をブーストしてミックス内で目立たせたりすることができます。
  2. ブースティングとカッティング:
    特定の周波数を強調(ブースト)または減衰(カット)することができます。これにより、サウンドの特定の要素を強化したり、不要なノイズを取り除いたりすることが可能です。
  3. サウンドの形状付け:
    異なる周波数帯のレベルを調整して、全体的なサウンドをバランスよく、聞き心地の良いものにすることができます。
  4. タイプの多様性:
    グラフィックイコライザー、パラメトリックイコライザー、セミパラメトリックイコライザー、ダイナミックイコライザーといった様々なタイプが存在し、それぞれ異なる機能と利点があります。

4.StudioEQ

Type:パラメトリックEQ

高品質な4バンドのパラメトリックステレオイコライザーです。
このイコライザーは、音楽制作やオーディオ処理において、音の周波数を精密に調整するために使用されます。

  1. 4バンドのパラメトリックフィルター:
    StudioEQには4つのバンドがあり、それぞれが完全にパラメトリックなピークフィルターとして機能します。
  2. シェルビングフィルターとカットフィルター:
    低域と高域のバンドは、シェルビングフィルター(3種類)またはカットフィルター(ローパス/ハイパス)として動作します。
  3. 周波数設定:
    各バンドの周波数は、ヘルツ単位または音階の値で設定できます。音階の値を入力すると、対応するヘルツ値に自動的に変換されます。
  4. Qファクター:
    ピークフィルターでは、バンドの幅(Q値)を制御します。シェルフフィルターでは、バンドのゲイン設定に応じて、ドロップまたはブーストを加えます。カットフィルターでは、共鳴を加えます。
  5. ゲイン調整:
    各バンドの減衰またはブーストの量を設定します。
  6. オートゲイン:
    この機能を有効にすると、出力レベルがEQ設定に関わらずほぼ一定に保たれます。
  7. スペクトラム表示: フィルタリング前後のスペクトラムを表示します。
  8. リセット機能: 全てのパラメータ値をリセットする機能があります。

5.GEQ 30

Type:グラフィックEQ

30バンドのグラフィックイコライザー(GEQ)です。
これは、オーディオ信号の特定の周波数帯域を調整するために使用されるツールで、主にライブサウンドやスタジオ環境で利用されます。

  1. 30の固定周波数バンド:
    30個の個別の周波数バンドがあり、各バンドは音の特定の範囲をカバーします。
  2. 調整可能なゲイン:
    各バンドのゲインは、最大12dBまで上げたり下げたりすることができます。これにより、音の特定の部分を強調したり減少させたりすることが可能です。
  3. プリセットモード:
    さまざまなプリセットモードが用意されており、サウンドに色を加えることができます。
  4. ステレオ/モノリンク:
    ステレオとモノの両方のモードがあります。これにより、ステレオトラックやモノトラックに適した調整が可能です。
  5. クラシックまたはモダンフィルタートポロジーの選択:
    クラシックとモダンのフィルタートポロジーを選ぶことができ、さまざまな種類のサウンド調整に対応します。
  6. リアルタイムアナライザー:
    異なるオーディオソース間の周波数応答の違いを視覚的に確認できます。
  7. ハイパス/ローパスフィルター:
    ハイパスフィルターとローパスフィルターが搭載されており、必要に応じて高いまたは低い周波数をカットすることができます。

6.GEQ 10

Type:グラフィックEQ

10バンドのグラフィックイコライザー(GEQ)です。この種のイコライザーは、オーディオ信号の特定の周波数帯域を精密に調整するために使用されます。

  1. 10の固定周波数バンド:
    10個の個別の周波数バンドを持ち、各バンドは音の特定の範囲をカバーします。
  2. 調整可能なゲイン:
    各バンドのゲインは上げたり下げたりすることができ、音の特定の部分を強調または減衰させることが可能です。
  3. スライダーによる直感的な操作:
    各バンドのゲイン調整はスライダーを使って行われ、直感的に操作ができます。
  4. シンプルで使いやすい: シンプルな設計であり、初心者にも扱いやすいです。
  5. 多様な用途:
    スタジオレコーディングやライブパフォーマンス、ホームオーディオなど、さまざまな用途で使用できます。
  6. リアルタイムでの音の調整:
    リアルタイムでオーディオ信号の周波数レスポンスを調整し目的のサウンドを作成できます。

7.Voxengo CurveEQ

Type:スプラインイコライザー

オーディオ処理用のソフトウェアイコライザーです。
これはスプラインイコライザーとして知られており、音楽制作やオーディオ編集で広く利用されています。

  1. スプラインベースのイコライジング:
    滑らかな曲線(スプライン)を用いてイコライジングカーブを表示します。これにより、ユーザーは視覚的にEQの変更を把握し、より精密な調整が可能になります。
  2. リニアフェーズ処理:
    リニアフェーズイコライジングをサポートしており、音質の変色を最小限に抑えながら周波数応答を調整できます。
  3. スペクトラムマッチング:
    一つのオーディオトラックのスペクトラムを別のトラックのスペクトラムに合わせる機能を持っています。これにより、一貫した音質のトラックを作成するのに役立ちます。
  4. プロフェッショナルな音質:
    高品質なサウンドでプロフェッショナルなレコーディングやミキシングに適しています。
  5. ユーザーフレンドリーなインターフェース:
    インターフェースは直感的で使いやすく初心者から上級者まで幅広く対応しています。
  6. 柔軟なバンド設定:
    任意の数のバンドを作成しそれぞれのバンドで周波数、ゲイン、Qファクターを調整できます。
  7. リアルタイムでのスペクトラム分析:
    インプットとアウトプットの両方のスペクトラムをリアルタイムで分析でき、サウンドの変更を即座に確認できます。

8.EQ-M5

Type:ビンテージチューブEQ

ビンテージチューブイコライザーで、特に中域の処理に適しています。

  1. 低域、中域、高域のピークフィルター:
    低周波数をブーストするためのフィルター、中周波数を減衰させるフィルター、高周波数をブーストするフィルターがあります。
  2. 個々の周波数設定:
    低、中、高各フィルターの周波数を個別に設定できます。
  3. ブーストと減衰の調整:
    低域と高域のブーストの量、中域の減衰の量を調整できます。
  4. 出力ゲインの調整:
    最終出力のゲインを調整可能です。

9.EQ-P1A

Type:ビンテージチューブEQ

ビンテージチューブイコライザーで、特に低周波数のブーストと減衰に基づいて設計されている特徴的なサウンドを持つイコライザーです。

  1. クラシックなアナログイコライザーベース:
    有名な低周波数のブーストと減衰をベースにしており、クラシックなサウンドを提供します。
  2. 低域と高域のシェルビングフィルター:
    低域と高域のシェルビングフィルターを提供します。
  3. 追加の高周波数ピークフィルター:
    高周波数のピークフィルターを提供して、より細かなサウンド調整が可能です。

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