要点まとめ
- 10G光回線+10G対応ルーターに替えるだけで下り 5 Gbps 超を実測。LAN 内の 1 Gbps 機器がボトルネックになる。
- ルーター → HUB → NIC をすべて 10 Gbps 化すると 5 Gbps → 7 Gbps まで瞬間伸びたが、fan ノイズ問題が発生。またすぐに5GBへ…
- ファンを静音モデルに交換すれば騒音は 約 50 % 低減、温度上昇は +3 ℃ 程度で許容内。
- 測定ツールは iPerf3 が必須。
fast.com
は 3 ~ 4 Gbps で頭打ちになる傾向あり。 - 今後は MTU 9000・オフロード設定・Cat6a 以上のケーブル長最適化で 10 Gbps フル近傍を狙う。
はじめに ――「1 Gbps でも速い? なら 10 Gbps はもっと速いはず!」
自宅マンションで 1 Gbps 回線+NEC ルーターを使い、実測 720 Mbps 程度で快適に暮らしていました。ところが最近「10 Gbps 光が引けるらしい」と耳にしてしまい、沼にダイブ決定。この記事では、筆者が実際に10G 光+10G ルーター+10G HUB+10G NICへ段階的に移行した全プロセスと、発生した爆音ファン問題をどう解決したかを、熱量高めにレポートします。
実験環境
ネットワーク構成(テキスト版)
ONU(NTT)→ S1: TP-LINK BE19000(10G WAN/LAN)→ 15 m Cat6a → S2: FOXNE 10G HUB → 各部屋 Wi-Fi ルーター & デスクトップ PC。旧構成はすべて 1 Gbps 機器でした。
機材一覧とアップグレード内容
装置 | 旧構成 | 新構成 | 目的 |
---|---|---|---|
S1 ルーター | NEC Aterm WG1200 | TP-LINK BE19000 | 10 Gbps 対応Wi-Fi 7 |
S2 HUB | NETGEAR GS108 | FOXNE 6-Port 10G | 10G LAN 集約 |
S4 PC NIC | オンボード 1G | TP-LINK TX401 | 10G BASE-T |
LAN ケーブル | Cat6(15 m) | Cat6a(15 m) | 伝送ロス低減 |

ミニ用語解説
- 10GBASE-T:RJ-45 で 10 Gbps を流せるイーサネット規格。Cat6a 以上の配線が推奨。
- MTU(Maximum Transmission Unit):一度に送れる IP パケットの最大サイズ。9000 byte(ジャンボフレーム)で CPU 負荷を低減できる。
- オフロード:チェックサム計算などを NIC に肩代わりさせ、CPU 負荷とレイテンシを削減する機能。
- iPerf3:LAN 内帯域を正確に測定できる OSS ベンチマーク。
ベースライン測定 ―― 1 Gbps 機器の限界を知る
旧環境で fast.com
を使うと、S4 PC が 720 Mbps、ほかは 360 ~ 640 Mbps。みんなのネット回線速度
でも「超速」判定。ここからどれだけ伸びるかが勝負です。
4 段階速度検証
STEP 1:ルーターだけ 10G、LAN 以下は 1G のまま
S1 で 5 Gbps を確認。しかし 2F の PC は 1.5 Gbps 止まり。WAN が速くても LAN が詰まる典型例。
STEP 2:ルーターの 10G ポート直結
S4 PC を S1 の 10G ポートに直結。すると2.4 Gbps → 240 Mbpsに失速(S5 Aterm 経由時)。無線ルーターが足を引っ張ると判明し、即撤去を決意。
STEP 3:HUB を 10G 化
FOXNE 10G HUB を投入すると S4 PC は2.3 Gbps、S6 PC は970 Mbps。ところがファンが爆音で作業に集中できない!
STEP 4:NIC も 10G 化(フルスペック)
S4 に TX401(10G NIC)を増設。iperf3 -c サーバIP -P8 -t30
で5 Gbps をマーク。とりあえずの「 5G」達成です。
速度比較サマリー
段階 | S1(1F) | S4(2F) | S6(2F) |
---|---|---|---|
旧 1G 環境 | 360 Mbps | 720 Mbps | 640 Mbps |
STEP 1 | 5.0 Gbps | 1.5 Gbps | 1.5 Gbps |
STEP 3 | 同上 | 2.3 Gbps | 970 Mbps |
STEP 4 | 同上 | 9.7 Gbps | ── |
考察 ―― 10 Gbps を引き出す 3 つの鍵
- ホップごとに 10G 化:ルーター・HUB・NIC のどこか 1 か所でも 1 G が混じると帯域は即ボトルネック。
- 測定ツールの選定:
fast.com
だけでは誤解を招く。LAN 内はiPerf3
、WAN 側はspeed.cloudflare.com
等で多角測定。 - チューニング:ジャンボフレーム(MTU 9000)、Large Send Offload などを有効化すると CPU 使用率が半分以下になり、長時間負荷でのスループット安定度も向上。
静音化大作戦 ―― 爆音 HUB を黙らせろ!

HUB ケースを開け、ファンを Noctua NF-A4x20 に交換。PWM 制御でアイドル時は 2,000 rpm まで落ち、深夜でも耳障りゼロ。温度は室温+15 ℃ → +18 ℃ に収まったので問題なし。
まとめ ―― 10 Gbps 環境は「時間と財布」と「静音対策」が鍵
1 Gbps → 10 Gbps へのジャンプアップは体感 5 倍以上の快感。ただし機器コストと騒音対策は覚悟が必要です。今後はケーブル引き回しを最適化し、MTU 9000・TCP ウィンドウ調整などソフト面のチューニングで実測 10 Gbps 超を目指します。
関連記事:10Gハブの爆音を完全攻略!静音ファン交換と10Gbps速度チューニングの全記録
FAQ
Q. MTU を 9000 にすると本当に速くなる?
A. CPU 負荷が減りスループットは 3 ~ 8 % 向上。ルーター・スイッチ・NIC すべてが対応していることが前提。
Q. Cat7 ケーブルに替えると速度は上がる?
A. 15 m 程度では Cat6a と実測差なし。シールド性が必要な環境なら検討。
Q. ファンレス 10G HUB はないの?
A. 法人向けには存在するが価格が 2 ~ 3 倍。静音ファン交換がコスパ最強。
Q. iPerf3 のサーバはどこに立てればいい?
A. NAS やラズパイで OK。iperf3 -s
を常駐させ、クライアントから -P 8
オプションでマルチスレッド測定すると実効値に近づく。
Q. 10 Gbps プランでも 5 Gbps しか出ない地域がある?
A. プロバイダのPoP収容数やマンション全体の帯域設計に依存。集合住宅ではベストエフォートと割り切りが必要。
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